山梨県内独特の、葬儀に関するユニークな風習としまして挙げられますのが、大月市近郊で今も受け継がれています、「三度回し」「棺回し」と呼ばれるしきたりです。一体どんな事をするのかと言いますと、呼んで字の如くですが、出棺を行う際に近親者で棺を担ぎあげ、棺を三度回すと言うしきたりになる訳ですが、このユニークな風習の意味するポイントとなりますのは、まずは宗教的な要素としまして、お遍路さんが聖域を回るなど、回るという儀式よって現世での行いの免罪の為の修行である「減罪信仰」から始まったと言う説、もう一つはほのぼのした説になりますが、棺を回す事によって故人の方向感覚を無くし、再び家に戻って来る事が出来ないようにする目的で、迷いなく成仏し旅立って行けるようにという、残された側の想いが込められていると言う説になります。
日本では法律で火葬が義務付されていません。衛生上の理由から火葬が義務付けされている場所もありますが、地方自治体に任されています。現在も土葬が認められているエリアもあり宗教上の理由から火葬がダメという場合もあります。
高知県や岐阜県などと一緒に山梨県は土葬率が高く、日本では稀少ムスリム専用の墓地もあります。土葬率は高めといえども山梨県は火葬が一般的で、通夜や葬儀は自宅で行われる事が多く、葬儀前に火葬を行う前火葬が多いです。
都市部の甲府市付近では葬儀後に火葬を行う後火葬が主流になってきています。山梨県のお葬式で一番特徴的なのが友引でも行う事です。友引に行う場合には人間の代わりになる供人形と呼ばれる人形を故人と一緒に棺の中に納めます。
通夜見舞いの習慣はありませんが、初七日法要後に初七日御膳という席を設けて故人と親しかった知人や友人親族などをもてなす風習がある地域もあります。